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神代の物語5. 八岐大蛇退治

(やまたのおろちたいじ)
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名誉挽回、地上へと追放された素盞鳴尊の別人のような大活躍

神々の系譜はこちら。


  • 高天原を追放された素盞鳴尊は、出雲の国の簸川(ひのかわ=島根県の斐伊川)のほとり鳥髪というところに降りてきました。川に箸が流れてきたので川上へ向かうと、とある小屋の中からすすり泣く声が聞こえてきます。
  • 中を覗いてみると、老夫婦と美しい娘が手を取り合って泣いていました。夫婦の名は手名椎(てなづち)、足名椎(あしなづち)といい、娘は櫛名田姫(くしなだひめ)といって夫婦の8番目の娘でした。素盞鳴尊はわけを聞いてみると・・・。
  • 老夫婦の話によれば、ほかの7人の娘は恐ろしい八岐大蛇に食べられてしまった、大蛇は毎年やってきて今年ももうすぐその時期となる、と言います。どんな形の大蛇かと聞きますと、ひとつの胴体に8つの頭、8つの尾、長さも8つの峰にわたるほどの怪物と言います。
  • 櫛名田姫はとても美しく、素盞鳴尊は即座に妻にと申し込むと、老夫婦もぜひにと答えますが、八岐大蛇を退治するのが当然の条件です。だが相手は強敵、暴れ者の素盞鳴尊でもまともにやったのでは勝ち目はありません。
  • それでも三貴神のひとりでもある素盞鳴尊、櫛名田姫を櫛に変身させて自分の髪に刺すと、ある策を考え出しました。
  • その策とは、家のまわりに垣根をめぐらしそこに8つの入口を作る。それぞれの入口毎に台を設け、強い酒を酒槽にあふれるほど盛って大蛇がくるのをまつ、というものでした。
  • さて、夜も更けてきた頃、とうとう八岐大蛇はやってきました。大蛇は俗にウワバミというくらいですから、強い酒の匂いにたまりません。ちょうど頭の数だけある入口からそれぞれ首を突っ込み、どれもこれも酒をたらふく飲み、酔いつぶれて眠ってしまいました。
  • こうなればもう簡単です。素盞鳴尊は眠りこけている大蛇をバラバラに切り裂きました。
  • 最後に大蛇の尾を切ったとき、剣の刃が欠けてしまったので不思議に思いその部分を切り裂いてみると、素晴らしい太刀が出てきました。
  • これが後に天皇家の三種の神器のひとつとして伝わる天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)だったのです。
  • 素盞鳴尊はその剣を姉の天照大神に贈り、和解することにしました。意外と気前がいいですね。この剣は後に、倭比売命(やまとひめのみこと)から日本武尊(やまとたけるのみこと)へ授けられ草薙の剣(くさなぎのつるぎ)と名称が変化します。
  • 素盞鳴尊はこの八岐大蛇退治で助けた櫛名田姫と結ばれ、この出雲の地に宮殿を建てて暮らすことになります。
    「八雲立つ 出雲八重垣 妻篭みに八重垣作る その八重垣を」
    なんか語呂合わせのような・・・有名な歌ですね。このいちばん幸せなときに素盞鳴尊が詠んだ歌です。この歌に由来するのが島根県松江市の八重垣神社で、縁結びのご利益があると言われています。
  • 地上に住み着いた素盞鳴尊、天上界とは別人の働きで、大国主命(おおくにぬしのみこと)へと続く国津神(くにつかみ)の系譜を作り出していきます。大国主命もなかなか魅力のある日本人に親しみ深い神様です。素盞鳴尊の子孫にあたるのですね。
    さて、舞台は日本建国へと大きく変化していきます。

(05/06/20)

神代の物語6. 国引き神話(くにびきしんわ)へ続く。