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神代の物語6. 国引き神話

(くにびきしんわ)
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出雲風土記に登場する大国主命の国づくり

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  • 国引き神話(くにびきしんわ)は、出雲国に伝わる神話のひとつ。出雲風土記の巻頭を飾る最長篇のもので意宇郡(おうぐん)の最初の部分に書かれています。これは、古事記や日本書紀には記載されておらず、出雲独自の神話なのです。
  • この物語の主人公は、八束水臣津野命(やつかみずおみつぬのみこと)。大国主命(おおくにぬしのみこと)の別名と言われています。八岐大蛇退治のあと、出雲の地に住み着いた素盞鳴尊の子孫にあたります。
    彼が、出雲国は小さすぎるので他の国の余った土地を引っ張ってきて広く継ぎ足そうとした、というのが国引き神話。継ぎ足されたところは島根半島の部分です。
  • 出雲の土地はその昔、狭布の稚国(さぬのわかこく)と言って、細長く未完成の国でした。この小さな国土を眺めて大国主命は呟きました。「わしが造り直して縫い合わせてやろう」
  • 大国主命は、まず、朝鮮半島の新羅の岬に余った土地を見つけ、「国来い、国来い」と言いながら太い綱でこれを引き寄せ、出雲の国土に縫い付けてしまいました。こうして、まず今の出雲大社の後ろあたりの土地が出雲に加わりました。
    去豆の折絶から八穂爾支豆支の御埼(やほにきづきのみさき=杵築崎・島根半島の西端の杵築の岬の一帯)がそれです。その時に使われた綱は園の長浜(稲佐の浜)になりました。そうして引いて来た国を動かないように継ぎ止められた杭が佐比売山(三瓶山)であると言われています。
    注)ちなみにその風景は、稲佐の浜から見ることができます。この浜は、素盞鳴尊から出雲の国を引き継いだ大国主神が、高天原から出雲支配のための使者として派遣された武甕槌神(たけみかづちのかみ)を迎えた浜でもあります。
    また、この浜で、子の事代主命(ことしろぬしのみこと)と相談して、
    但、八雲立つ出雲国は、吾が静まり坐さむ国と、青垣廻らし給ひて、玉と珍で直し給ひて守り坐さむ
    と詠んで国譲りを決意したと言います。(国譲り神話より)
  • 続いて北門(きたど)の佐伎(さき)の国から同じように引いてきたのが狭田(さだ)の国、今の平田市周辺平田の北から佐陀川にかけて、さらに、北門(きたど)の良波(よなみ)の国から引いてきたのが闇見(くらみ)の国、今の松江市の北部、最後に北陸は高志(こし=越)の国都都(珠洲)の岬から引いてきたのが東端、三穂(みほ)の埼(美保の岬)で、国を引いた綱が夜見島(弓浜半島)、つなぎとめた杭が火神岳(大山)となりました。こうして4回にわたる国引きを終えました。
  • 大仕事を終えた大国主命は、持っていた杖を杜に突き立て「おえ」と叫んだと伝わるから、この地方が意宇(おう)の地名で呼ばれるようになったと言われます。

(05/06/20)

神代の物語7. 国譲り(くにゆずり)へ続く。